誰であろうとイライラ。全方位にガルガル!
「子どもを触る時は毎回、手指消毒を要求し、忘れた人には『消毒!!』って、毎回キレてました」(しろまる)
「抱っこの仕方や話しかける位置(むきぐせや反りが気になる)など、ちょっとしたことも全てが気にくわなくて、1人でイライラしていた」(もきち)
「子育て初心者の私に、まわりの人たちから『そんな心配しなくても適当で大丈夫だよ~』『どうにか育ってくから、もっと気抜いて平気だよ~』などのアドバイスをいただきました。今思えば心を軽くする為とわかりますが、当時は神経質になりすぎて受け止める余裕がなく『当事者じゃないから適当なこと言えるだけだ!』『お前に私の何が分かるんじゃーー!!』と、なってました(笑)」(ゆずまる)
「ガルガル期はいろいろな要素が絡み合っている」とは、ベテラン助産師の濵脇文子先生。ガルガル期の過ごし方のアドバイスを頂きました。
「ガルガル期では、自分を許してあげることも大切」と、濵脇先生
「ガルガル期」という表現は、医学的な用語ではありません。ママたちの気持ちを表現した言葉だと思います。産後、母が精神的に不安定な状態になることがよくあり、原因はいろいろな要素が絡み合っていると推測されています。
【ホルモンバランスの変化】
中でも「オキシトシン」というホルモンが影響していると言われています。オキシトシンは別名・愛情ホルモンとも言われ、赤ちゃんと接することで脳から分泌され、愛おしい感情や幸せな感情に包まれるすてきなホルモンなのですが、一方で攻撃性も併せ持っているのです。
愛おしい=私が守らねば、という防衛本能が強くなりすぎて、周囲に必要以上の警戒心が生まれ攻撃性を強めてしまうのです。
【育児疲れ】
ガルガル期が一番出やすいのが産後1ヶ月と言われています。
妊娠中、すてきな母になることを夢見たママは多いと思いますが、思い通りにいかないのが出産・育児です。完璧主義な人ほど理想が打ち砕かれたことに苛立ち、いつしか「自分はダメ人間なのか」などと何に対してもネガティブな思考になり、夫や家族の何気ない言動にいちいちカチンとしてしまうのです。
こういったいろんな要素や感情が絡み合い、ガルガル期を生み出していると言われています。
「里帰り出産で、とにかく実父にガルガルが酷かったです。(中略)喧嘩したあとは一人で泣いていました」(あお)
親に対して嫌悪感を抱くことに、自己嫌悪に陥るママをときどき見かけます。
産前は良好な関係だった人に容赦ない言動をしてしまうパターンもあるあるで、これは相手に甘えている、信頼しているからだと推測できます。
こういった感情に包まれると、「私はダメな人間だ」と過剰に悲観的になりがち。ネガティブな感情はガルガル期を悪化させるため、今はそういう時期なのだと自分を許してあげてほしいと思います。
失言したり失礼な態度をとるまえに、対策を心がけましょう
①早い段階で相手や周囲に話しておく
自分の感情が不安定だな、コントロールが難しいかもと感じたら、それとなく話しておきましょう。自分の気持ちを素直に伝えられるといいですね。相手が理解してくれず誤解が生まれそうな場合は、ネットや書籍を見せるのも手段です。
②物理的に距離をとる
「失言してしまいそう」と、思ったら部屋を出て別室にこもる、トイレにこもるなど、とにかく相手から離れましょう。
③赤ちゃんとの生活を見直す
SNSなどでよくある、キラキラ育児に惑わされてはいけません(笑)
大人の生活パターンに赤ちゃんの生活を組み入れられるのは、もう少し先です。赤ちゃんをコントロールしようなんて、私でもできません。
赤ちゃん育児は長期戦です。ママの疲れが蓄積しないよう、夫や家族の協力を仰ぎましょう。
「夫のやることなすことにイライラする。産後1年以上たった今でもそう」(Gad)
これはガルガル期ではありません(笑)
人は簡単には変われません。相手を変えるより、自分の考え方やコミュニケーションの取り方を変えてみるといいかもしれませんね。
濵脇文子(はまわき ふみこ)
PROFILE)
助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。
(取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年10月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数197人)
※記事の内容は2024年12月の情報で、現在と異なる場合があります。