おむつ替えのときに「気持ちいいね」、お散歩のときに「風が涼しいね」など、赤ちゃんが体験している日常をナレーションするように言葉にしてあげましょう。赤ちゃんは五感を通じて世界を知り、そのときの状況で聞いた言葉のニュアンスを少しずつ吸収します。名詞だけでなく、「ぶーぶー、かっこいいね!」のように形容詞や動詞、擬音語・擬態語も使いましょう。
【3つめの力】1~5歳のころは「話す力」を広げる時期
1歳を過ぎると、子どもは少しずつ言葉を話し始めます。この時期は、言葉の「やり取り」を楽しむことを意識しましょう。「 話す力」を広げる方法を4つ紹介します。
【1】 選択肢を増やして言葉を引き出す
「りんごとバナナ、どっちが食べたい?」など、子どもが自分の意思を言いたくなるよう話しかけます。指さしやアイコンタクトで意思表示出来たらOK。最初は短い返事でも、「そう、バナナね!」と肯定すると、さらに言葉を伝えたいという気持ちが育ちます。
【2】 言葉のモデルを見せたり日常の出来事を言葉にする。
子どもが「ぶーぶー!」と言ったら、「ほんとだね、赤い車がぶーぶー走ってるね!」というように少し長く返してみましょう。たとえば1語文の子どもには1~2語を追加した、二語文や三語文で話しかけると伸びやすいとされています。「鍋がグツグツしてるね」「おふろはあったかいね」など、状況や動作の言葉をかけることで、言葉の意味と音をリンクさせやすくなります。料理や掃除など、日常に隠れた音や動きを言葉にすると、子どもの興味を引き出せます。
【3】 絵本の読み聞かせを活用する
絵本を読むときは、ただ読んで聞かせるだけでなく「この動物は何かな?」「次はどうなるかな?」など問いかけをしてみましょう。子ども自身が「ゾウさん!」と答えたら、「そうだね、ゾウさんは大きいね!」とジャスチャーつきで返したり、ページが進むたびに子どもが予想できるように声かけをすると、やりとりが一層盛り上がります。幼稚園の先生になったつもりで読み聞かせをしてみてください。
【4】おしゃべりの時間を作り、子どもの言葉を尊重する
どうしても毎日忙しいと、子どもとの会話が片手間になりがち。でも、乳幼児期は短い間でもていねいな言葉のやり取りが「ことば」の力を増やします。5分でいいのでおふろ、寝る前、食事中など、意識的にほかのことはしないで子どもとおしゃべりしながら遊んであげる時間をつくりましょう。
たとえ子どもが何を言っているのよくわからないときでも、まず「そっか~!」笑顔であいづちを打ったり「そう思ったんだね」「お話ししてくれてありがとう」と受け止めることが大事。「ママ(パパ)は聞いてくれている」という安心感があると、子どもはもっと話したい気持ちになります。
文・監修/西村佑美先生 構成/たまひよONLINE編集部
子どもの言葉の発達には、親のかかわりが重要です。絵カードなどで一方的に教えるのではなく、今回紹介した「3つの力」を育てるつもりで言葉のやりとりをしてかかわると、子どもの言葉の発達がぐんと伸びます。あせらず、楽しみながら「ことば」の世界を広げていきましょう!
【参考文献・資料】
・Bottema-Beutel, K. (2016). "Associations between joint attention and language in autism spectrum disorder and typical development: A systematic review and meta-regression analysis." Autism Research, 9(10), 1021–1035.
・Rowe, M. L. (2012). A longitudinal investigation of the role of quantity and quality of child-directed speech in vocabulary development. Child Development, 83(5), 1762-1774.
・Hirsh-Pasek, K., et al. (2015). Putting education in “educational” apps: Lessons from the science of learning.
・Rogers, S. J., et al. (2012). Evidence-based comprehensive treatments for early autism. Journal of Clinical Child & Adolescent Psychology, 41*(1), 8-38.
・日本小児科学会「乳幼児の発達における言葉の重要性」 (関連する年代の資料・ガイドライン).
・* 厚生労働省. (母子保健に関する資料).
・WHO(世界保健機関)「Early Childhood Development and Language Acquisition」
●記事の内容は2025年2月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。