2社が作っているMRワクチン、1社のワクチンが自主回収されたため、不足に
MRワクチンは2回の接種が必要です。接種すると、麻疹(はしか)と風疹にかかりにくくなります。定期接種の初回は1歳の誕生日から2歳の誕生日前まで。2回目は小学校就学前年の4月1日から翌年3月31日までです。それ以外の時期の接種だと無料ではありません。
現在はこのワクチンを生産は2社体制で、各社が必要量のほぼ半数ずつを生産しています。
供給不安定の原因は、1社の製品にワクチンの力価(りきか/効果の強さを示す指標)が基準を満たさない製品が見つかったため、製品の自主回収が行われたからです。今後、早々に正常な製品が出荷されないと、必要量の半分くらいしか流通しないため、接種が受けられないままの子どもが出てしまいます。ワクチンは自治体ごとに均等に配布されているわけではないので、不足している地域の医療機関では、入手さえできなくなっていると聞きます。
そのために接種を受けやすい地域、接種が受けにくい地域で接種率に差が出ています。実際、「ワクチンが入手できるまで接種をお待ちください」と言われているところもあり、定期接種対象期間内に接種が済まない可能性も出ています。この影響なのか第2期(小学校入学前年)の接種率がまだ95%に届いていない地域も出ているようです。
定期接種最終期限内に接種できないと困ります。まだ接種が済んでいない子どもがいる家庭は、かかりつけ医か、地元自治体の担当課に現状がどうなっているか、どうしたらいいのかをぜひ確認してほしいと思います。
私のクリニックがある千葉市では、定期接種ワクチンは行政が配布するシステムです。現在配布されているワクチンは供給停滞の影響は受けていないので順調に接種できています。
おたふくかぜワクチンも2社の製造体制。1社のワクチンが有効成分不足のため生産停止中
おたふくかぜワクチンは任意接種の予防接種ですが、近年は、多くの自治体が接種費用の助成を行っており、接種を受ける子どもが増えています。当院でも1歳で始まるワクチン接種時期にはおすすめしていますが、千葉市はまだ接種費用助成がない自治体にもかかわらず、多くの保護者が接種を希望しています。
当院で使っているワクチンも、今回の供給停滞の影響を受けており、入手できない期間が早期に解決されることを願っている状態です。このワクチン接種回数は、MR、水痘と同じ2回がすすめられていますが、2回分を充足するためには、MRワクチンとほぼ同量の生産が必要です。
こちらも生産は2社体制。供給停滞の理由は、MRと同じで製品の有効成分不足が見つかって、原因検索のために一次生産が停止中。復活は早くても2025年9月といわれていますが、正確な日程がわかっているわけではありません。
接種者が増加してしばらくおたふくかぜの流行は起きていませんが、未接種者が増えるとそれも安心できません。早期の供給復活が望まれます。
ああ、実に困ったことです。